東京医科大入試で女子合格者を減らすための得点操作が行われていた問題で、受験生らを支援する弁護団が21日、結成された。今後、依頼に応じて大学側に得点開示や受験料返還を求めていく。女性が不利に扱われがちな現実は、医学部入試に限らず、企業の採用でも指摘されている。どうすれば女性差別はなくなるのか。
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結成されたのは、「医学部入試における女性差別対策弁護団」。全国から弁護士57人が参加した。21日、都内で記者会見した共同代表の角田由紀子弁護士は「許しがたい差別行為。この社会は脈々と女性差別が続いている。いかに根絶するか、日本社会全体が問われている」と語った。
弁護団によると、希望があれば、得点開示と受験料返還などを同大に求める。また、得点開示後、得点操作で不合格になったことがわかった場合は、入学資格の付与や賠償金請求なども検討していくという。すでに女性の受験生3人から相談を受けている。
2015年に同大を受験して不合格になり、現在は別の大学に通う20代の女性は、この3人のうちの1人。「女性の扱いが公正でないと分かっていたら、東京医大は受けなかった」と、悔しそうに語る。
女性が合格しにくい医大の名前は、予備校で公然とささやかれていた。今回の報道に「本気でやってたんだ」と情けなくなった。周りの女子学生も「詐欺」と怒っているといい、「『受験料を返せ』と思います」と語気を強める。
医学部入試の特殊性は、卒業生の多くに大学の付属病院に勤務してもらう前提で、入学者が選抜されるという点だ。その意味では、入試でありながら、採用試験に近い面があると言える。
実際、この女性は10の私大医学部を受験したが、2大学の面接では、「女性が医師になることのメリット、デメリットは?」と遠回しに結婚や出産について聞かれた、と明かす。予備校で対策をしていた質問で、「パートや非常勤で働き続けます」と、「模範回答」をしたという。
福岡県にある久留米大商学部の塚崎公義教授(日本経済論)は「(医学部入試は)就職試験と入学試験の『中間的』な性格を持った試験であるがゆえに、世の中の就職試験で発生している問題が入試の場で発生し、人々の違和感と怒りを呼んでいる面もあるようだ」とみる。
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弁護団は25日午後1~4時、緊急の電話相談(044・431・3541)を行う。メール(igakubu.sabetsu@gmail.com)でも相談を受け付けている。女性のほか保護者や多浪の男性からの相談も受け付ける。
差別解消に「働き方改革、不可欠」
企業の募集や採用段階での男女差別は、男女雇用機会均等法で禁止されている。だが、女性の「減点」は採用時に行われている、という指摘もある。
ある大手企業の面接担当者は、…