2017年度に職場で雇用主や上司などから虐待された障害者は1308人で、前年度より34・6%増えた。調査を始めた13年度以降で最多となった。厚生労働省が22日発表した。職場でのいじめや嫌がらせへの関心が高まり、労働局などへの通報が増えたためとみられるという。
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被害者本人や同僚からの通報などを元に労働局が調査し、虐待があったと認定した人数をまとめた。虐待の内容別で最も多かったのは、障害者であることを理由に賃金を低くするといった「経済的虐待」で83・5%だった。採用面接で「健常者は時給900円だが、障害者は800円だ」と言われた障害者が、納得できずに見直しを求めたが改善されないケースがあった。
暴言や差別発言などの「心理的虐待」は8・3%で、きちんと仕事をこなしている障害者に「何をやっている」「早くしろ!」と怒鳴るといったものがあった。暴力などの「身体的虐待」は5・7%あった。上司から職場の倉庫に閉じ込められた障害者もいた。
虐待があった事業所は前年度より2・8%増え、597カ所だった。このうち8割が50人未満の小規模な事業所だった。加害者は2・0%増の603人で、事業主が8割以上を占めた。厚労省の担当者は「障害者雇用の経験が少なく、障害者が働きやすい職場づくりへの認識が乏しい中小企業もあるようだ」と分析し、啓発活動などを通じて虐待防止を図っていくとしている。(村上晃一)