特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)で起きる事故の実態を把握するため、厚生労働省は初の全国調査を行う。今年度中に調査結果をまとめ、施設における事故防止対策を検討する。事故を防ぐために必要な体制や職員が身につけるべき知識などを盛り込む方針だ。
入居者が転んだり、食べ物以外のものをのみ込んだりした事故が起きた場合、国の運営基準で施設には自治体への報告義務がある。ただ、自治体から国には報告する必要がない。死亡事故も含めた事故件数や内容に関する全国的な統計はないのが実情だ。
厚労省の審議会で委員から「介護現場でのリスクマネジメントの状況はどうなっているのか」と問題提起があったが、現状では国として実態把握ができておらず、対策がとれないことから、調査の実施を決めた。
調査は9月以降、全国の特養約9700施設(16年時点)から2千施設以上、老健約4200施設(同)は全施設を対象に、事故の内容や自治体への報告状況を尋ねる。また、施設から自治体に報告する内容については運営基準に詳細な規定がないことから、今回の調査では全自治体に対し、施設にどの程度の事故について報告を求めているのかなどを尋ねる方針だ。(船崎桜)