視察先で「雷」を落としたかと思えば、雨の中で傘も差さない姿を見せる――。北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が最近、喜怒哀楽を織り交ぜた表情を国営メディアで伝えている。9月9日の建国70周年を控え、国民の支持を得るための戦略とみられる。
朝鮮中央通信などは21日、正恩氏が北西部、平安北道(ピョンアンブクト)の妙香山(ミョヒャンサン)医療器具工場を視察した際に関係者を叱責(しっせき)したと報じた。正恩氏は「見た目は医療器具工場ではなく農業機械倉庫。馬小屋をほうふつさせる」「動物でさえ年に1度しか冬眠しないのに、保健医療部門は何年も冬眠している」とこき下ろした。
同通信が7月2日に伝えた平安北道の工場群の視察でも、同月17日に報じた咸鏡北道(ハムギョンブクト)の経済部門での視察でも、関係者の努力不足を強く批判した。
一方、今月20日に平壌で行われた金永春(キムヨンチュン)元人民武力相の国葬では、正恩氏は雨のなか傘も差さずに参列した。8日付の労働新聞(電子版)は、南西部・黄海南道(ファンヘナムド)の塩辛加工工場を視察した際、麦わら帽子をかぶり白い半袖シャツ姿で笑顔を見せる正恩氏の写真を載せた。
正恩氏は1月1日の新年の辞で…