(13日、大相撲秋場所5日目)
相撲特集:どすこいタイムズ
わずか5秒。大関昇進をねらう御嶽海が、大関栃ノ心を怒濤(どとう)の寄りで土俵の外に追いやった。
今場所初の格上との対戦に、「はじいて前に出ることしか考えていなかった」。同じ一門で、ひんぱんに稽古をする仲だ。傾向と対策は頭にあった。立ち合いで前まわしを狙いに来た栃ノ心を、右手を伸ばして突き放す。すぐに距離を詰め、抱きかかえるように両差し。一か八かの投げを腰を落としてしのぎ、寄った。途切れぬ攻めで大関に何もさせなかった。
「直近3場所を三役で33勝」という大関昇進の目安に照らすと、御嶽海に今場所求められる星数は11。13勝で優勝した名古屋場所で、休場した3横綱1大関と対戦しなかったことをふまえれば、横綱、大関6人が勢ぞろいのこの場所、上位から白星を挙げれば昇進に向けて好印象を与えることは間違いない。
「第一関門」が最近3連敗を喫していた栃ノ心戦だった。その勝ちっぷりに、八角理事長(元横綱北勝海)は「怖いもの知らずな、このまま上がっていく勢いがある」と言った。
ここ1年の6場所で、大関戦は3勝6敗、横綱戦は1勝4敗。まだ5人と対戦を残す。御嶽海は「前に出ること、絶対に引かないことを思えば、自然と結果はついてくる」と語る。6日目の相手は大関豪栄道。「今までやってきた人ばかりなので変わらずにやるだけです」。気持ちに隙はない。(菅沼遼)