米国による高関税制裁措置の第1~2弾を受けて、日本企業はマイナスの影響を避けるため、中国での生産を他国に移すなどの方策をとり始めている。
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旭化成は、中国と日本の工場で担っていた米国向けの自動車部品用の樹脂の生産を、8月までに日本の工場に集約した。もともと日本に徐々に移す計画だったが、対中制裁に伴って予定を前倒しした。住友電気工業は、中国で製造する自動車関連部品について、東南アジアやメキシコでの代替生産を検討。三菱電機も、中国で生産していた米国向けレーザー加工機などが制裁の対象になり、8月から名古屋市内の工場に生産を移しつつある。
業績への影響も深刻だ。コマツは、中国で油圧ショベル用部品を生産し続けた場合、関税の影響で年間の損失が約40億円になるとの試算が出たため、一部の生産を米国や日本に移し始めた。アジアや北米向けの油圧ショベルが好調な日立建機は、2018年4~6月期の売上高が過去最高だったのに、通期予想は据え置いた。「米中の経済への影響に加え、全世界にどう波及するかに神経をとがらせている」(幹部)という。
日用品や食品、家電など幅広い消費財が含まれる第3弾が発動されれば、さらに多くの日本企業が対応を迫られることになりそうだ。日本貿易会の中村邦晴会長(住友商事会長)は18日、「そう遠くない将来に消費者に影響が出てくる」と指摘した。関税引き上げが米国の消費のピークである年末商戦にかかることから、「消費者の心理的影響もあり、米国の消費にかなり影響がある」と懸念する。
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