三代目桂春団治の「野崎詣(まい)り」、六代目笑福亭松鶴の「らくだの葬礼」、桂米朝の「一文笛(いちもんぶえ)」。上方落語「四天王」のうちの3人がそれぞれ得意とした噺(はなし)を、米朝一門の桂塩鯛(しおだい)が10月8日の独演会で演じる。芸歴41年、積み重ねた“年輪”の妙味を見せる。
メインに位置づけるのは、中トリで演じる「らくだ」だ。1時間を超す大作で、ならず者に脅される気弱な男が酒に酔ううちに性格が一変し、立場が逆転するシーンが見せ場の一つ。「松鶴師匠はいつ酔ったのか分からない。芸の深さがあった」という。
自身が初めて手がけたのは入門から10年、30代だった。「若いうちは人情の機微まで表現できない、難しい噺」と感じ、年齢とともに芸を磨いてきた。「30年が経ち、どこまで自然に酔えるようになったか、見ていただきたい」
午後2時、大阪市北区のサンケイホールブリーゼ。4200円。チケットセンター(06・6341・8888)。(深松真司)