上方歌舞伎の女形、坂東竹三郎に入門して15年目。坂東竹之助が師匠の後押しを受け、初めての自主公演「竹之助の会」を大阪で開く。
上演する「歌しぐれ」は、生き別れた母子の再会を描いた浪花情緒あふれる芝居だ。「娘より年増が似合う」と師匠に太鼓判を押された竹之助は、「娘に会いたい一心で何ごとにも耐える母」のおぬいを演じる。「派手さはないけど、ハートのある芝居。大阪のにおいを勉強させていただきたい」と話す。
師匠の竹三郎は長く「上方歌舞伎の火を消してはいけない」と、20回以上の自主公演を開き続けた。その話を何度も聞かせてもらったという竹之助は「いつか私もやりたいという思いがあった」。
スーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)「ワンピース」での竹三郎のせりふを引き合いに、「『心の病に効く何よりの薬は、人の心の優しさでございます』。これを言える役者になりたい」。ひたむきに師匠の背中を追う。
ほかに舞踊「雷の道行(ゆき)」も。竹三郎や上村吉弥に加え、松竹新喜劇の曽我廼家(そがのや)八十吉、落語家の桂九雀らも出演する。8月4日、大丸心斎橋劇場。チケットは完売。(岡田慶子)