安倍晋三首相は衆参同日選を見送り、参院選を単独で行うことを正式に決めた。立憲民主、国民民主、共産など野党5党派が25日提出した安倍内閣不信任決議案は、自民、公明、維新などの反対多数で否決された。通常国会は延長せず、会期末の26日に閉会する。参院選は7月4日公示、同21日投開票の日程が確定し、与野党は事実上の選挙戦に入る。
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参院の定数は、昨年7月の公職選挙法改正で6増えた。3年ごとに半数が改選されるため、今回の改選議席は3議席増の124議席(選挙区74、比例区50)。自民は、自公で改選議席の過半数となる63議席に勝敗ラインを設定した。憲法審査会での議論が進んでいないことに不満を示す首相が選挙戦で憲法改正をどこまで訴えるかも焦点だ。改憲発議に必要な3分の2にあたる164議席を、自公両党と安倍政権下での改憲に積極的な日本維新の会などが維持するかも一つの注目点だ。
野党5党派は全国32ある「1人区」での候補者を一本化した。政権が10月の消費増税を予定通り実施する方針に対し、野党は反対で一致。老後の生活費が2千万円不足するとした金融庁の審議会報告書や、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の報告書問題、安倍政権の政治姿勢を問う構えだ。
野党側は25日、内閣不信任案を衆院に共同提出。金融庁の審議会報告書の問題や厚生労働省の統計不正、与党による予算委員会の開催拒否など、政権の問題点を列挙。立憲の枝野幸男代表は趣旨説明で「国民を欺き続ける安倍内閣が続くことは、国民生活や安全保障を破綻(はたん)の道へと導く」と首相退陣を求めたが、反対多数で否決された。(安倍龍太郎)