フィギュアスケートの近畿選手権が7日、兵庫県尼崎市の尼崎スポーツの森であり、男子ショートプログラム(SP)で2010年バンクーバー五輪銅メダリストの高橋大輔(32、関大ク)が77・28点で首位に立った。フリーは8日に行われる。
高橋大輔「足ガクガク」…4年ぶり、滑り終えて心境は?
フィギュア特集 Kiss and Cry
高橋が勝負のリンクに帰ってきた。直前の6分間練習に姿を現すと、観客から大きな拍手と「大ちゃーん」の声援。一挙手一投足を見つめる静寂とジャンプが決まった時の大歓声の繰り返しで、異様な雰囲気に包まれた。期待の大きさを改めて感じたといい、「めちゃめちゃ緊張した」。
そんななかで滑ったSP。坂本龍一作曲の「ザ・シェルタリング・スカイ」のピアノの音色にのせて、しなやかに舞った。冒頭のトリプルアクセル(3回転半)や後半の3回転ルッツは出来栄え点(GOE)で加点がもらえる評価を得た。引退後のブランクに加えて、8月には左足を負傷。調整が思い通りにいかない状況でも、大きなミスなく滑りきり、スタンディングオベーションで迎えられた。
しかし、「ジャンプも全部つまりましたし、スピンもガクガクでした」という。3回転フリップ―3回転トーループの2本目で回転不足をとられたり、スピンでレベルを取りこぼしたりしたことを反省。「これから西日本を通過して、全日本と続いていけば、もっと緊張感は高くなってくると思う。それを自分の力に変えられるくらい、強くなっていきたい」
演技終了後、スコアを確認することを忘れて、控室へ引き揚げようとした。「そういえば点数が出るんだ、と思い出して。それよりも終わった安心感で、帰って着替えたいという気持ちが先走った」。緊張しっぱなしだった32歳の五輪メダリストは、恥ずかしそうに笑った。
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今年の世界選手権5位の友野一希(同大)は70・94点でSP3位。この日は女子SPもあり、今季のグランプリシリーズ第3戦のフィンランド大会に出場する白岩優奈(関大ク)が54・85点で4位につけた。(大西史恭)