ソウル郊外で7日、国家施設である揮発油貯蔵タンクが17時間にわたって炎上し、43億ウォン(約4億3千万円)の被害が出た。人命被害はなかったが、警察の調べで、原因がイベントなどで空に飛ばすランタンだったことが判明。ずさんな安全管理に批判が殺到している。
火災が起きたのは送油管を扱う公社の貯油所。警察によると、7日午前、近くの工事現場で働いていたスリランカ人男性が飛ばしたランタンが、タンク周辺の芝生に落下。芝生に火が付いて18分後にタンクが爆発した。火災感知センサーの設置がなく、公社側は爆発まで火災の発生を知らなかったという。ランタンは韓国の行事では欠かせない伝統的なミニ気球で、一部のコンビニなどでも販売されている。
警察は重失火容疑で男性の逮捕状を請求。しかし、男性は「好奇心から飛ばしたが、貯蔵所の方向に飛んでいくとは思わなかった」と供述し、裁判所は逮捕を認めなかった。ランタンは前日、付近の小学校の行事で飛ばされたもので、男性は地面に落ちていたものを拾いライターで火をつけたという。
警察が逮捕状請求の方針を示し続けたところ、ネット上で、「安全設備を備えていなかった公社が責任を持つべきだ」と逮捕に反対する書き込みが殺到。保守系野党も「問題はランタンでなく政府の安全管理システムだ」と批判し、警察は逮捕状の請求を断念した。(ソウル=武田肇)