韓国の康京和(カンギョンファ)外相は10日の国会答弁で、北朝鮮との交易の原則禁止などを定めた韓国の独自制裁解除について、「関係部署と検討している」と答弁した。韓国は、北朝鮮の非核化が進展するまで制裁を維持する立場を堅持しており、康氏はこの点について議員から重ねて質問されると、「発言が先走ったとすれば、申し訳ない」と謝罪した。
韓国外交省も10日午後、韓国独自制裁の解除について、「現在、政府レベルで本格的に検討している事実はない」とコメント。康氏の発言について、「南北関係の発展と非核化をめぐる対話が進むなか、安保理決議などを損なわない範囲で柔軟に検討する必要があるという趣旨だった」と釈明した。
韓国は9月の南北首脳会談で、物資の搬入を伴うことから国連制裁決議違反になる可能性の高い南北の道路・鉄道連結事業の着工式を年内に行うことで合意した。文在寅(ムンジェイン)政権は国連決議を守るとする一方、南北経済協力に強い意欲を示している。
また、9月の南北首脳会談直後、ポンペオ米国務長官からの電話で、軍事分野合意書について強い不満の表明があったのかを確認する質問に対し、康氏は「そうだ」と答えた。康氏は「(米側が)十分な説明を受けられなかった状況のなか、様々な質問があった」と説明。米側から事前説明が不十分として不快感の表明があったことを認めた。(ソウル=牧野愛博)