堺市で今年3月、練炭自殺を装って弟を殺害したとして、殺人罪で起訴された建設会社長の足立朱美容疑者(44)が2度にわたり、父親を殺害しようとした疑いがあることが捜査関係者への取材でわかった。父親は2度インスリンの多量摂取で倒れ、その後死亡。いずれも足立容疑者の関与が疑われており、府警は17日、父親に対する殺人容疑に加え、殺人未遂容疑でも再逮捕した。
捜査関係者によると、父親の富夫さん(当時67)は糖尿病を患い、インスリンを常用していた。今年1月20日に自宅で低血糖状態で倒れたものの、意識が回復していったん退院。しかしその翌日の26日に再び倒れ、意識が戻らないまま6月28日に死亡した。府警が遺体を調べたところ、インスリンの多量摂取による脳障害と判明したという。
その後の捜査で、富夫さん方にあったインスリンが通常の使用量を超えて減り、注射器も無くなっていたことがわかった。富夫さんの妻(67)は府警に「夫は毎回、機械を使って血糖値が正常か確認していた」と説明しており、府警は何者かが関与した疑いがあるとみて捜査していた。
富夫さんが自宅で倒れた両日とも、足立容疑者が泊まりに訪れ、さらに遺体から足立容疑者に処方されていた睡眠導入剤の成分が検出されたことも判明。府警は足立容疑者が飲み物に混ぜるなどして睡眠薬を服用させた後、インスリンを多量に投与したとみている。
足立容疑者は3月、富夫さん宅のトイレで、練炭自殺を装って弟の聖光(まさみつ)さん(当時40)を殺害したなどとして、起訴されている。