大手住宅メーカーの積水ハウス(大阪市北区)との土地取引で所有者になりすまして登記を変更しようとした疑いで8人が逮捕された事件で、容疑者側が積水ハウス側から受け取った約55億5千万円の多くが、架空の会社名義など計12口座に振り込まれていたことが捜査関係者への取材でわかった。口座提供者らには報酬も支払われていたという。警視庁は捜査の追跡を避ける狙いがあったとみている。
積水ハウスは昨年4月、所有者になりすましたとされる羽毛田正美(はけたまさみ)容疑者(63)=偽造有印私文書行使容疑などで逮捕=と、生田剛容疑者(46)=同=が実質管理するペーパー会社を介して売買契約を結び代金計約63億円を支払った。警視庁は、積水ハウスが分譲マンション購入費として容疑者側から受け取った預かり金を除く55億5千万円をだまし取られた疑いがあるとみている。
このうち約10億円を生田容疑者が受け取り、残りは本当の所有者名義で開設された容疑者側が管理する口座に約30億円、架空の会社名義など計11口座に数億円ずつ分散して振り込まれていた。これらの口座を準備した人物や、口座からの現金引き出し役らには報酬も支払われていたという。
警視庁は、土地所有者になりすまして代金をだまし取る「地面師」グループが、詐取金の受け取り方法や分配の方法を周到に計画していたとみている。