山形、山梨両県で計3人の女性宅に侵入し、性的暴行を加えたとして強姦(ごうかん)致傷などの罪に問われた元NHK記者の弦本康孝被告(30)の控訴審判決が18日、仙台高裁であった。嶋原文雄裁判長は「一審判決に事実の誤認はない」として、懲役21年とした一審・山形地裁の判決を支持し、弦本被告の控訴を棄却した。被告側は取材に対し、最高裁に上告する考えを示した。
一審判決によると、弦本被告は甲府放送局に勤務していた2013年12月と14年10月に山梨県内で、山形放送局に異動後の16年2月に山形県内で、いずれも一人暮らしの20代の女性宅に侵入し、「静かにしろ」などと脅して計3人に性的暴行を加えた。うち2人にはけがも負わせた。
公判で弦本被告は一貫して無罪を主張。控訴審で弁護側は、事件現場に残されていた遺留物のDNAについて、「恨みを抱いている人物が、弦本被告に罪を着せるために現場に持ち込んだ可能性がある」などと主張していた。嶋原裁判長は判決で「およそ具体性・現実性を欠く抽象的な可能性をいうものでしかない」と退けた。(宮谷由枝)