韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は19日、訪問先のベルギー・ブリュッセルで、英国のメイ首相と会談し、「北朝鮮が非核化を進展させる場合に人道的支援や制裁の緩和が必要だ」と述べ、国連安全保障理事会で議論するよう求めた。メイ氏は北朝鮮の現在の措置だけでは不十分との認識を示した。韓国大統領府が明らかにした。
文氏は15日に会談したフランスのマクロン大統領にも同様の内容を求めた。
韓国大統領府によると、文氏はメイ氏に、「北朝鮮は豊渓里(プンゲリ)核実験場を廃棄し、東倉里(トンチャンリ)のミサイル実験場と発射台の廃棄を約束した」と指摘。さらに、「(3回目の南北首脳会談で)米国の対応次第で寧辺(ヨンビョン)の核施設の廃棄の用意があると明らかにした」と語った。その上で「北朝鮮が継続して非核化措置を進められるよう、安保理を中心に知恵を集めるべきだ」と制裁緩和に向けた議論の開始を求めた。
これに対し、メイ氏は「北朝鮮の非核化プロセスをさらに促進するための議論は必要だ」と応じたが、「北朝鮮もCVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)に対する具体的な行動が必要だ」と主張。北朝鮮の現在の措置だけでは不十分との認識を示したという。
文氏の発言の背景には、米朝間で早期開催で一致した2度目の米朝首脳会談の調整が滞っていることへの危機感があるとみられる。
文氏はベルギー・ブリュッセルで開催されたアジア欧州会議(ASEM)首脳会合にあわせて13日から欧州5カ国を訪問。19日にはブリュッセルでドイツのメルケル首相とも会談した。(ブリュッセル=武田肇)