皇后さまが20日、84歳の誕生日を迎えた。来年4月30日の天皇陛下の退位を前に、皇后として最後の誕生日となった。報道用に寄せた文書で、約60年前に「大きな不安の中で」皇室に入ったことを述懐。退位後については「これから皇太子と皇太子妃が築いてゆく新しい御代(みよ)の安泰を祈り続けていきたい」とつづった。
皇后さま、文書でお気持ち 「御覚悟に心を打たれた」
皇后さまの歩み ひざついて国民と交流、陛下も続いた
文書は、自身の歩みを顧みるものとなった。24歳の時、「想像すら出来なかったこの道に招かれ」て結婚。「皇太子妃、皇后という立場を生きることは、私にとり決して易しいことではありませんでした」「与えられた義務を果たしつつ、その都度新たに気付かされたことを心にとどめていく――」。象徴を模索し続けた陛下のそばで過ごしたそんな日々を、「深い感慨」とともに振り返った。
来春で退位する天皇陛下については「以後もきっと、それまでと変わらず、国と人々のために祈り続けていらっしゃるのではないでしょうか」とし、来年5月からは「皇太子が、陛下のこれまでと変わらず、心を込めてお役を果たしていくことを確信しています」と述べた。
自身は「(陛下と)御一緒に穏やかな日々を過ごしていかれればと願っています」としつつ、「これまでと同じく日本や世界の出来事に目を向け、心を寄せ続けていければ」と述べた。
その例として拉致被害者の問題に言及。「平成の時代の終焉(しゅうえん)と共に急に私どもの脳裏から離れてしまうというものではありません」「家族の方たちの気持ちに陰ながら寄り添っていきたい」と述べた。(島康彦、緒方雄大)