超党派の日本会議国会議員懇談会(会長=古屋圭司・元国家公安委員長)は20日の総会で、女系天皇につながりかねないとして「女性宮家」の創設に反対する基本方針をまとめた。一方、結婚した女性皇族が皇籍離脱後も皇室活動を行えるよう政府に求める方針だ。
総会には自民党や日本維新の会などの議員約50人が出席。古屋会長は、「令和の時代がスタートして、皇室の継承問題が重要な政治的テーマになってくる」とあいさつした。
基本方針では、安定的な皇位継承のために、「例外なく維持されてきた伝統に基づき、男系男子による継承が可能となる方策・提言案をまとめる」とした。戦後に皇籍を離脱した旧皇族の皇籍復帰案などが念頭にある。
退位特例法の付帯決議では、女性皇族が結婚後も宮家を立てて皇室に残れるようにする「女性宮家」の創設などの検討を求めている。だが、基本方針では女性宮家には反対と明記した。女性宮家の子どもが皇位に就けば女系天皇になるためで、同懇談会皇室制度プロジェクト事務局長の鬼木誠衆院議員(自民)は「宮家は、皇室を継ぐ家だから、男系でなければならない」と話す。
議員懇談会は今後、提案をまとめていく考えだが、時期については明言しなかった。政府は秋以降に議論を始める考えだ。参加議員の一人は「結論を急ぐ理由はない。野党との議論に乗って、結論がゆがんだ方向になるのはよくない。こちらから案は積極的には出さない」と話した。
立憲民主党は、女性天皇や女系天皇に前向きな考えを打ち出した。女性宮家の創設も望ましいとする。共産党もこれらを「当然検討されるべきだ」との立場だ。国民民主党は女系天皇について「国民意識はまだ熟していない」として、今後の論点としている。
安倍晋三首相は、4月1日の報道番組で、安定的な皇位継承について「男系継承が古来、例外なく維持されてきた重みを踏まえながら、慎重かつ丁寧な検討を行っていく必要がある」と発言している。(及川綾子)