日立製作所が笠戸事業所(山口県下松市)で働くフィリピン人技能実習生40人に実習途中の解雇を通告した問題で、実習生が加入した労働組合と日立との団体交渉が19日、下松市であり、賃金補償で大枠合意した。実習生は損害賠償請求訴訟を見送る方針だ。
日立、技能実習生20人に解雇通告 国から認定得られず
日立の中西会長「違法を避けるため、とりあえず解雇」
笠戸事業所については法務省や国の監督機関「外国人技能実習機構」が、実習生に目的の技能が学べない作業をさせてきた技能実習適正化法違反の疑いがあるとみて検査している。このため日立は同機構に新たな実習計画が認められず、実習生40人に9~10月、解雇を通告していた。
日立はこの日、国側から実習中止の処分を受けた場合、残りの実習期間約2年分の基本賃金を補償する考えを示し、実習生側が受け入れた。日立は帰国までの月額数万円程度の生活費も補償する考えを示し、実習生によると、一部を実習生の口座に入金した。
実習生が加入した労組「スクラムユニオン・ひろしま」(広島市)は、日立がこれまでの「実習は適正」との姿勢から譲歩したと評価。「実習生の基本的な利益を守れた」(土屋信三委員長)と判断した。「実習生には借金もあり、生活の不安もある」ため、国側の処分が出るまでの生活費の補償水準については交渉を続ける。9月に解雇を通告された20人は、入国管理局の決定で今月20日までの滞在期限が30日間延びた。
日立広報・IR部は「合意に向けて前進したものと認識している。実習生が、従前と同様に実習が実施できるよう、最大限努力していく」とコメントした。(橋本拓樹、藤牧幸一)
■「闘い、お金のためだけではな…