(19日、パ・リーグCS最終ステージ第3戦 ソフトバンク15―4西武)
ソフトバンク、15点で大勝 CS対戦成績は2勝2敗に
飛球を打ち上げると、ソフトバンクの上林は悔しそうにバットを放り投げた。九回の最終第6打席。二塁打ならCS史上初のサイクル安打達成だったが、「ベンチでも言われて意識はしたけど、持ってなかったですね」。リーチをかけてからは二ゴロ、二飛と力が入ってしまった。
猛攻の口火を切ったのが三回1死二、三塁。内角への甘い変化球を豪快にすくい上げた。自身CS初アーチとなる先制3ランを右翼席中段にたたき込んだ。「相手が相手。打ち負けないようにした」。この一発で完全に乗った。
四回に中前打、五回は右中間への2点三塁打。残り二塁打なら偉業達成だったが届かなかった。ただ、CSでは1試合最多に並ぶ6打点と荒稼ぎをした。三回は守備でも強肩を披露。右前安打を捕球した後、本塁を狙った二塁走者を右翼からの好返球で刺した。
背番号51にとって、今CSは雪辱の舞台だ。昨年、高卒4年目でブレークしたが、シーズン終盤に打撃不振に陥った。そのためCS最終Sでは第1、2戦に先発出場も無安打。第5戦でベンチを外れた。その試合後、日本S進出決定の歓喜に沸くチームの中、悔し涙を流した。「何してんだろうと、自分へのいらだち」
屈辱から1年。今季は初の全試合出場で、レギュラーを奪った。そして、敗戦ならCS突破に王手をかけられる正念場での大仕事。上林に引っ張られた打線はCS最多に並ぶ15得点で、2勝2敗のタイに戻した。(甲斐弘史)