(19日、セ・リーグCS最終ステージ第3戦 広島5―1巨人)
広島、2年ぶり日本シリーズへ CS最終S、巨人下す
華々しいホームランで打ち勝つのも広島なら、手堅い点の取り方ができるのもまた広島だ。日本シリーズ進出に王手をかけて臨んだ一戦は、後者の隙のない野球が凝縮されていた。
真骨頂は二回。メヒア、野間が2球でヒット2本を重ね、鮮やかに先制点を奪ってからだった。無死二塁、会沢は遊ゴロだったが、自らの判断で野間が三塁へ進む。1死三塁となって、安部がひっぱった一ゴロの間に2点目のホームを踏んだ。野間は「短期決戦はこういう1点が大事になってくる」。
丸、鈴木といった主軸以外でも点がとれるのがこのチームの強さだ。本塁打はリーグ2位の175本。強力打線といわれる広島だが、チーム打率はリーグ3位の2割6分2厘。それなのに得点はトップの721。2位に40近く差をつける599四球が一つの象徴のように、ヒット以外でもいかに点を奪うかという考えが浸透している。
安部が「こうした2点目のようなジャブがのちに効いてくる」と話せば、丸も「ヒットでとれればいいけど、形はどうであれ、点がとれればいい」と言い切る。この手堅さが3連覇を成し遂げた広島の強さだ。
昨季はこのCS最終ステージで勢いに乗った3位DeNAに足をすくわれたが、同じ轍(てつ)は踏まない。普段通りのプレーで、しかるべき場所に王者は歩みを進めた。(藤田絢子)
菊池「新井さん、家族で送り出す」
最優秀選手に選ばれた菊池は「素直にうれしい」と満面の笑み。18日の第2戦で決勝3ランを放ったほか、3試合を通じて再三の好守で投手陣をもり立てた。日本シリーズでは34年ぶりの日本一を狙う。菊池は「新井さんは引退する。チーム一丸、家族一丸となって、いい形で送り出したい」と誓った。