学校の文化祭でジェットコースターを手作りする高校が増えている。北海道から沖縄まで、100校以上に広がっているという。何が生徒たちを引きつけているのか。
7月、秋田県立大館鳳鳴高の文化祭。3年H組の教室内に木製のコースターがお目見えした。動力は無く、下り坂を利用して動く。壁を黒いビニールで覆い、東京ディズニーランドの「スペースマウンテン」をイメージした。発案したのは3年H組の片岡将真さん(17)。昨年の文化祭でも提案したが、「危険だ」と指摘を受け断念。企画を練り直して実現した。「試運転で成功したときには思わず涙が出ちゃって。クラスみんなで何かを作り上げるのは本当に楽しかった」と片岡さん。文化祭の最優秀企画にも選ばれた。
私立愛知高校(名古屋市千種区)が9月の文化祭で作ったコースターは本格派だ。コース全長は約60メートル。木材の骨組みの上に金属製のレールを載せ、予算は約35万円に上る。
2年6組担任の小崎邦夫さん(56)が2000年と01年に文化祭でコースターを作り、その映像を見た生徒たちが「やりたい」と沸き立った。
工具の使い方を覚えるところから始め、約1カ月かけて完成させた。ところが、文化祭前日の試験走行で、車両が脱輪。クラス総出の調整後に試走は成功したものの、台風24号の影響などで実際に来場者を乗せて走らせることはかなわなかった。ただ、6組の玉水花奈さん(16)は「うちはおとなしいクラスだったけど、ジェットコースターを作るうちに団結してきたように思います」と手応えを感じた様子。小崎さんも「失敗してもいい。試行錯誤しながら何かを作り上げてほしいと思っていた。みんな真剣でした」と目を細めた。
…