特急列車が高速でカーブに突入し、横転して火花と土煙があがる――。台湾東部の宜蘭県で起きた脱線事故の様子を捉えた監視カメラの映像を22日、台湾鉄道が公開した。車内にいた乗客たちも、スピードを上げてゆく列車に恐怖を感じていた。いったい何が起きたのか。
脱線、台湾検察「速度超過が原因」 運転士は異常を報告
「おかしいな」。事故を起こしたプユマ号に乗り合わせた女性は、いつもよりスピードを上げて走る列車に異変と恐怖感を感じた。「列車は予定より遅れており、急いでいるのかな」と感じたという。
問題の列車は事故直前、かなりの高速で走行していたとみられる。台湾メディアは時速100キロ以上などと報じている。
監視カメラの映像では、白色の8両編成の列車が、現場となった新馬駅付近の右カーブに差し掛かった直後にねじれるように横転。はじけるような火花や、車体が隠れて見えなくなるほどの土煙を上げて脱線する状況が記録されている。勢いで、プラットホームの電柱なども引き倒された。
前方から4番目の車両に乗っていた女性は車内でスパークのような光を感じ、次の瞬間に巨大な衝撃音と共に車両がひっくり返ったという。足を負傷した女性は地元紙の取材に対し、「もう二度と列車には乗らない」と語った。
乗客たちは事故の前から異常を感じていた。問題の列車は運行中に、突然の停止と発車を幾度か繰り返した。事故現場の一つ手前の駅で下車した女性は、「車両の異常を途中で知りながら、運行を続けるなんておかしい」と地元メディアに語った。
犠牲者18人のうち計5人が、終着駅の台東市にある卑南中学校の教師と生徒だった。亡くなった3人の生徒はいずれも中学1年生。そのうちの1人、陳叡杰さんは柔道部に所属する活発な男子生徒で、残る2人もまじめな生徒だったという。学校関係者は「突然のことで非常に驚いている」と言葉少なだった。(宜蘭=西本秀、台東=益満雄一郎)