原発で重大な事故が起きた際の賠償制度をめぐり、政府は、原子力損害賠償法の改正案を取りまとめた。原発ごとに備えさせる上限額を現行の1200億円に据え置き、電力会社の賠償責任も現状のまま「無限」とする。賠償額が8兆円超に膨らんだ東京電力福島第一原発事故の教訓から見直しの議論が始まったが、国の責任には踏み込まず、抜本的な改正は見送られた。
原子力委員会の専門部会が議論の結果をまとめ、文部科学省が23日、自民党の部会に改正案を示した。臨時国会に提出する。
現在の原賠制度は、電力会社に無過失・無限責任を負わせる。そのうえで民間保険や政府補償で原発ごとに最高1200億円を備えさせ、超えた分は、電力大手や政府が出資する原子力損害賠償・廃炉等支援機構が支援する。電力会社が負担する上限がなく、電力業界は見直しを求めていた。
2015年に原子力委の専門部…