プロ野球の日本シリーズは、27日に2―2の引き分けで始まった。第1戦を引き分けたのは、1986年以来3度目。第2戦は広島の勝利に終わったが、今後、星の取り合いになると、同年以来の第8戦にもつれ込む可能性も。シリーズ終了直後には日本代表の日程も詰まっており、予想外の展開に関係者は頭を悩ませている。
32年前も初戦引き分け
32年前の日本シリーズは西武と広島の顔合わせで、第1戦が延長十四回で2―2の引き分け。当時は4時間半を経過した場合、新しいイニングには入らないというルールだった。第2戦から広島が3連勝。一気に日本一かと思われたが、第5~7戦を西武が制して3勝3敗1分けで第8戦にもつれ込んだ。
「しんどいよな、8戦目は。わしも現役時代に経験してる。あのときはうちの監督(工藤監督、当時西武)にやられた。(今年)8戦目まであることも覚悟はしている」。そう話すのは、ソフトバンクの達川ヘッドコーチだ。当時は広島の正捕手。西武にいたソフトバンクの工藤監督が第5戦の延長十二回に、サヨナラの右前安打。この1勝が、西武の日本一につながった。
今シリーズも、引き分けで始まり広島が先勝するという同じ展開。万が一、第8戦にまでもつれ込むと、今年は面倒な事態になりそうだ。
11月4日にマツダスタジアムで予定されている第7戦を終えて、ともに4勝未満の場合、翌日に同スタジアムで第8戦が行われる。シリーズを主催する日本野球機構(NPB)によると、第8戦を行う場合、第7戦終了直後から入場券を販売するという。
同じヤフオクでの可能性
第8戦以降は延長回が無制限になるが、もう1試合引き分けるなどすれば、第9戦の可能性も出てくる。その場合は移動日を挟み、ヤフオクドームでの対戦となる。想定されるのは11月7日。この日は午後6時15分から、日本代表「侍ジャパン」と台湾代表の壮行試合が行われるのだ。しかも同じヤフオクドームで。
NPBの杵渕セ・リーグ統括は「もちろん、日本シリーズが優先」と話す。既に、台湾戦のチケット販売ホームページには「日本シリーズが、順延等で7日に行われる場合、本試合は中止となります」との特記事項が掲載されている。
日本シリーズとほぼ同じ日程で、台湾のプロ野球王者を決める「台湾シリーズ」が行われており、こちらの星取りも、代表戦の開催に影響するという。既に販売済みのチケットを払い戻すことになれば、財政面でもダメージを被ることになる。今シリーズ中、NPBをはじめとした関係者は例年以上に胃の痛い日々を送ることになりそうだ。