8月末に米フロリダ州で開催された女子野球の第8回ワールドカップ(W杯)で、9戦全勝で6連覇を達成した女子日本代表。国内だけではなく、国際的にも女子野球の普及を牽引(けんいん)する立場の女子代表は、野球の本場でその実力をみせつけた。12日には、橘田恵監督らが日本野球機構(NPB)を訪れ、斉藤惇コミッショナーに優勝報告。世界の女子野球のレベルが上がる中、橘田監督は6連覇達成に「ホッとしました」と笑顔をみせた。
優勝報告には、3大会連続でMVPに選ばれたエース里綾実投手(愛知ディオーネ)と、プロ野球ヤクルト・川端慎吾選手の妹で主軸打者として活躍した川端友紀内野手(埼玉アストライア)も出席。優勝トロフィーを手にした斉藤コミッショナーは「これを機会に女子野球がもっと盛り上がってほしい」と語った。
大会期間中は、米国のメディアから強さの秘密など多くの質問を受けたという。一部メディアはMVPの里について、カーブのボール回転数が大リーグ屈指の左腕カーショー(ドジャース)を上回ったと紹介。「歴代最高の女子選手」などと絶賛した。里は「MVPは私1人の力ではなく、みんなに感謝したい。自分自身の励みになった」と語った。川端は、大会中から兄と「(放送で)試合見ていたよ」「優勝おめでとう」などとメールでやりとりしていたことを明かした。
日本は今大会9戦全勝。2012年の1次リーグで米国に敗れたのを最後に、W杯の連勝は30まで伸びた。決勝では台湾を6―0で破り、橘田監督も「自分たちの野球がしっかりできた」という。それでも、監督は「2次リーグまでは僅差(きんさ)の試合が多く、苦しい戦いで重い雰囲気もあった」と振り返った。1次リーグではカナダに2―1で辛勝し、キューバには先制を許す展開となり4―1で逆転勝ち。2次リーグの台湾戦は2―1の逆転勝ちだった。カナダ、米国、台湾の強豪国だけでなく、中南米の国も力をつけてきているという。
里は「海外の選手はポテンシャルが高く、競技の環境が整えばもっと強くなる。日本は連覇を続けるために、女子選手が野球を続けられる環境を整えていくのが大事」と訴えた。橘田監督は「これを機会に、女子野球をもっと知ってもらえたら。日本は勝つだけでなく、普及のため国際的な役割を考えていきたい」と語った。