プロ野球の広島とソフトバンクによる日本シリーズ(4戦先勝制)は、3日に広島・マツダスタジアムで第6戦を迎える。ここまで互いに本拠では無敗で、ソフトバンクが3勝1敗1分けで2年連続の日本一に王手をかけた。後がなくなった広島にとって希望の光は、ここから勝ち続ければ「第8戦」までの3試合を地元で戦えることだ。
今シリーズはマツダスタジアムで開幕。第1戦は2―2で引き分け、第2戦は広島が快勝した。福岡・ヤフオクドームに移ってからはソフトバンクが3戦3勝。これでヤフオクドームでは、2011年第7戦から日本シリーズ12連勝。V9時代の巨人の後楽園10連勝をしのぐ無双ぶりを発揮した。
王手をかけたソフトバンクに有利な状況なのは間違いないが、舞台がマツダスタジアムに変わるのは広島にとって追い風。カープは今年のレギュラーシーズンでは44勝24敗2分けの勝率6割4分7厘と、本拠での強さなら引けは取らない。
データ通りの力を発揮して3日の第6戦と4日の第7戦を広島が連取すれば、通算3勝3敗1分け。どちらかが4勝するまでシリーズは続くため、5日午後6時半から第8戦が行われることになる。その会場は、スタンドが真っ赤に染まるであろう、マツダスタジアムだ。
本拠での無類の強さを発揮し合ったシリーズと言えば、03年のダイエー(現ソフトバンク)と阪神による「内弁慶シリーズ」を思い出すファンも多いだろう。互いに本拠での試合に勝ち、3勝3敗で迎えた福岡での第7戦をダイエーが勝って日本一に輝いた。これは1950年からの日本シリーズ史上、初の出来事だった。
今年は第1戦が引き分けだったため、この時のような内弁慶シリーズの再現とはいかない。それでも第8戦までいって日本一になれば、第1、2戦と合わせ「本拠で5戦無敗」という史上初の珍記録となる。
ちなみに、過去に第8戦までいったのは、86年だけ。この時は広島が1分けの後、3連勝から4連敗を喫し、西武に敗れた。最高殊勲選手(MVP)に選ばれたのは、現在ソフトバンクの監督を務める工藤公康だ。時を超えたリベンジなるか。(松沢憲司)