1日、2人乗り「タンデム自転車」の鹿児島県内の公道での走行が解禁された。視覚障害者も楽しむことができ、観光地での活用やサイクリングイベントの開催などにつなげる狙いだ。
2人乗りタンデム自転車は、2人分のサドルやペダルが縦列に並ぶ。後方に乗る人はハンドル操作がいらないため、視覚障害者でも乗ることができる。
ただ、2人でペダルをこぐのでスピードが出やすく、小回りもききにくい。安全面を考慮し、これまで県道路交通法施行細則では自転車専用道路や県警が許可した競技大会のみ公道での走行を認めていた。
県内では、以前から視覚障害者や県議会から公道での走行を解禁してほしいという要望が上がっていた。県警は、自治体や道路管理者などの意見を聞くなど準備を進め、県公安委員会が先月19日に同細則の一部を改正、1日に施行された。
今回の改正では、前に乗る人は16歳以上とされ、6歳未満の幼児を同乗させることはできない。3人乗りのタンデム自転車もあるが、公道を走れるのは2人乗りに限定された。
公道を走る際には、車道の左側を通行し、「自転車及び歩行者専用」の標識が設置されていても、歩道を走ることはできない。一方通行などの規制標識に「自転車を除く」とあっても、タンデム自転車は除外されないなど、普通自転車とはルールが異なる。
県警によると、9月末時点で、全国22府県で2人乗りタンデム自転車の公道走行が認められている。今年度中には、福島、栃木の両県でも解禁されるという。
山下耕治交通部長は「観光、イベントなど多様なニーズに対応できる」とする一方、「普通自転車以上に危険が多い。自動車の運転者も、タンデム自転車には留意して安全運転してほしい」と話している。(井東礁)