(3日、プロ野球日本シリーズ ソフトバンク2―0広島)
ソフトバンク、下克上日本一 広島を2―0で破る
短期決戦知り尽くした男 工藤監督、情を排し再び日本一
日本一連覇を達成したソフトバンクの工藤監督が胴上げで、15回もマツダスタジアムの宙に舞った。敗れれば、翌日も続いた死闘。試合前には主力のデスパイネと今宮の負傷欠場が決まった。それでも、総力戦を仕掛けて、第6戦で今回のシリーズを決めに行った。
勝ちへの流れは、やはり肩が作った。一回1死。広島が二盗を狙ってきたところを、甲斐が二塁で刺した。二回にも再び二塁への盗塁を潰した。これで、今シリーズは甲斐、高谷2人の捕手で計7個の盗塁を刺した。カープの機動力を断ち、攻撃陣の勢いにした。
この試合も同じ。泥臭く先制点を奪ったのが好守の後の四回の攻撃。ヒットエンドランなどで1死二、三塁と好機を広げ、打席には西田。一塁側への絶妙なスクイズを成功させた。得点力が落ちた分、動いて主導権を握った。五回には新助っ人のグラシアルがソロ本塁打を放ち、選手層の厚さも示した。
昨季はほとんどの場面をフルメンバーで戦えた。しかし、今季は開幕から主力選手が相次いで故障。主砲の柳田以外、毎日のように打順を組み替えるなどし、現有戦力をやりくりした。その度に総力戦で乗り越えてきた。2018年の最後の試合も、それを象徴するような全員野球だった。
窮地を動いて好転させた工藤監督。「自分たちの野球がしっかりできたと思う。広島さんは強くて、わずかな差で僕らが勝った」。球団初のシーズン2位からの逆襲物語を球団創設80周年の節目で完結させ、平成最後の王者に輝いた。(甲斐弘史)