プロ野球広島東洋カープの新井貴浩内野手(41)が3日、20年間の現役生活に終止符を打った。マツダスタジアム(広島市)での日本シリーズ第6戦でソフトバンクに敗れ、念願だった日本一には届かなかった。 「一生カープ」新井へ 11年前残留願った旗、右翼席に 引退「書いちゃだめ」 新井、秘めていた2年前の決意 ソフトバンク、下克上日本一 広島を2―0で破る 短期決戦知り尽くした男 工藤監督、情を排し再び日本一 2点を追う八回無死、代打で登場。360度の「新井コール」のなか渾身(こんしん)のスイングで遊ゴロに倒れた。 広島出身。2007年に取得したフリーエージェント権を行使して、一度は阪神へ去った。自ら下した決断なのに、「カープが大好きです。つらいです」と泣いた。 自由契約になり、故郷の球団に復帰したのが15年。低迷期の広島でともに戦ってきた投手の黒田博樹さん(43)も大リーグから戻った。ドラマのような物語が、ここから始まった。 翌16年、黒田さんとともにチームを25年ぶりのリーグ優勝に導き、2人で抱き合って泣いた。そのシーズン限りで黒田さんが引退した後も、欠かせない存在であり続けた。 登場曲はスキマスイッチの「全力少年」。時に不格好でも決して手を抜かず、得点すれば真っ先にベンチから飛び出して大喜びした。「全力中年」は兄のように慕われ、この夜も誰よりも大きな、悲鳴にも似た声援に背を押された。 引退表明は9月5日。「新井さんと一日でも長く」が選手たちの合言葉になった。その後、新井選手がお立ち台で「家族一丸で頑張りたい」と言えば、それがまたチームの、ファンの合言葉になった。 「かわいい後輩たちと日本一になって、うれし涙で終われれば最高だな」と話していたが、届かず。「悔しくないといえばウソになる。でも、それ以上に『ありがとうございます』という気持ちです」。試合後、少し寂しげな表情でそう話した。広島を愛し、広島に愛された背番号25。夢の続きを後輩たちに託し、ユニホームを脱ぐ。(竹田竜世) |
新井、最終打席は渾身スイング 球場は「新井コール」
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