(3日、日本シリーズ第6戦、ソフトバンク2―0広島)
ソフトバンク、初の下克上日本一 広島を2―0で破る
あとがない状態で本拠に戻った広島。勢いを取り戻すためにも、先取点がのどから手が出るほど欲しかった。
一回、先頭の田中が左前安打で出塁。2番菊池が送りバントを失敗したが、それでも動いた。一塁走者の田中はレギュラーシーズンではチームトップの32盗塁を決めた俊足。丸への3球目。二塁に向けてスタートを切る。が、ソフトバンクの捕手・甲斐の矢のような送球に刺された。「甲斐選手のほうが一枚も二枚も上だった」と田中。
二回にも2死一、三塁から、一塁走者安部の二盗が甲斐に悠々とアウトにされる。真っ赤なスタンドからは大きなため息がもれた。
広島のレギュラーシーズンの盗塁数は95で、リーグトップ。攻撃を支えてきた一つの柱でもあった。高(こう)ヘッドコーチは「投手もシリーズを通してクイックを徹底してきていた。すきを見せてくれないね」。安打以外でも得点を狙う広島らしい攻撃を繰り出そうとしたが、不発に終わった。緒方監督は「走れば送球エラーとかもある。動いて突破口を開こうと思ったが、相手が上だった」。
結局、6試合での盗塁数はシリーズ史上最少タイのゼロ。機動力を封じられ、最後は零封負け。3年連続となった日本一への挑戦だったが、「三度目の正直」とはならなかった。(藤田絢子)
●緒方監督(広) 「選手たちは自分たちの野球を信じて戦ってくれた。決して力では負けていなかった。この結果は自分の力不足。申し訳ない」
●新井(広) 現役最終打席は、八回に代打で遊ゴロ。「ありがとう、という気持ちしかない。今はみんなが結束している。これを引き継いでほしい」
●田中(広) 1番打者は、一回に二盗を失敗。「やはり甲斐選手の方が、一枚も二枚も上手でした」
●鈴木(広) 「悔しい思いはあるけど、自分の力を出し切って負けたから仕方ない気持ちもある。課題にも気付いたので、来季に向けてやるだけ」