中国東北部の吉林省集安と、鴨緑江対岸の北朝鮮を結ぶ新たな橋や通関施設の整備が急速に進んでいる。中朝関係が悪化していた間は工事がストップしていたが、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が訪中した3月ごろから再び動き出した。同省はシルクロード経済圏構想「一帯一路」を旗印に投資を呼びかけている。
「集安鴨緑江大橋」は、集安市街の約8キロ北東にある。金正日(キムジョンイル)総書記時代の2011年に建設が始まり、12年に完成した。しかし、中国側の通関施設の設置が見送られ、運用が始まらないままになっている。11年末に正日氏が死去して金正恩体制に変わり、核実験などを巡り中朝関係が悪化したことが影響したとみられる。
15年に中国側の橋の入り口にゲートだけつくられたが、周りの土地は5年以上、舗装もされず放置されていた。今年3月以降に工事が再開され、取りつけ道路や検査場などが次々に完成。橋には街灯もついた。
中国側の計画では、橋を中心に約8平方キロの経済協力区が建設される予定。吉林省は10月に開いた金融機関の会合で、「北朝鮮に開放する一帯一路の重要な窓口」と投資を呼びかけた。(集安=平井良和)