厚生労働省は6日、過労死の防止対策を進めるためのシンポジウムを東京都内で開いた。11月の「過労死等防止啓発月間」にあわせたもので、長時間労働やパワーハラスメント(パワハラ)で家族を亡くした遺族らが「全ての職場から過労死をなくしたい」と訴えた。
帰宅中のバイク事故で息子(当時24)を亡くした渡辺淳子さんは、徹夜を含めて22時間の連続勤務の後の事故だったことを悔やみ、「元気いっぱい社会に飛び出したばかりで、なぜ、命を落とさなければならなかったのか」と話した。
今年2月、会社を相手取った裁判で、帰宅中の事故でも会社に安全配慮義務があるとの内容で和解が成立。会社側が再発防止策として、仕事を終えてから次に働き始めるまでに一定の休息時間を確保する「勤務間インターバル制度」を導入することになった。
政府は同制度の導入割合を2020年までに10%以上にする目標を掲げる。渡辺さんは「過労死を撲滅するための真の労働時間の上限規制だ」とし、多くの企業で同制度が導入されるよう求めた。
「全国過労死を考える家族の会」の寺西笑子・代表世話人は、近年、若い世代で過労死や過労自殺が増えていると指摘。パワハラにも懸念を示し、「過労死は人災だ。働き方を改善すれば、必ず防ぐことができる」と強調した。(松浦祐子)