日米野球は13日午後6時半から、広島市のマツダスタジアムで第4戦が始まった。先発は日本代表が大瀬良(広)、大リーグ選抜が前田(ドジャース)。新旧の広島東洋カープを代表する投手の投げ合いは、前田が2回を無失点に抑え、先にマウンドを降りた。「かつてプレーしたグラウンドに戻ってこられたのは、楽しかったです。ファンに投球を見せられてよかった」
対する大瀬良は、丁寧にストライクゾーンの四隅を突いた。2回に失投をソロ本塁打にされたが、失点はこれだけ。73球で5回を投げきり「高さやコースはある程度、間違えずに投げられた」と振り返った。
登板前から、対決は注目された。先に仕掛けたのは前田。11日、東京ドームで行われた記者会見で、大瀬良との対戦について聞かれると「さっき会ったときは『もう(前田を)追い抜いた』と言っていたので、胸を借りるつもりで、一生懸命投げたいと思います」。それを伝え聞いた大瀬良は「言ってません」と苦笑い。確かに2人があいさつを交わした11日の試合前練習では、前田が大瀬良の腹を触るなどして、笑い合っていた。
2人は2014年から2年間、広島で一緒にプレーした。前田が大リーグに移籍してからも、頻繁に連絡を取り合う。大瀬良はドジャースの試合も映像で見ていたようで「トレーニングをすごくやっているらしい。力で押していく投球のイメージがすごくあった」と先輩をたたえる。
大瀬良によると、2人の投げ合いは紅白戦でもないという。「チームが勝つ投球をしたうえで、ちょっとでも成長した姿を見せられたら」と大瀬良が言えば、前田は「慕ってくれた後輩とマツダで投げ合える日が来ると思っていなかった。今回の日米野球は『広島で試合がある』というのが、出場するという決断の一つになりました」。
お互いに、今の自分が持っている力をすべて出すべく、マウンドに上がった。(井上翔太)