(13日、大相撲九州場所3日目)
相撲特集:どすこいタイムズ
稀勢の里、初日から3連敗 横綱では92年の旭富士以来
東支度部屋の一番奥。髪を整え終えても、稀勢の里はしばらく立ち上がれなかった。視線を落としたまま。記者の問いかけにも無言。それも仕方ない、と思えるほどショッキングな黒星だった。
結びの一番で、稀勢の里は、やはり左差しにこだわった。突き合いに応じながら、体勢は常に左半身。ここまで狙いが明らかであれば、相手が警戒するのはその1点。初日、2日目と封じられた武器を、この日も北勝富士のおっつけに殺された。左のどわに、あごが上がった。その左が外れた瞬間、反動でつんのめった横綱が土俵に転がった。
この日の朝、前日まで非公開だった稽古を一転、報道陣の前で行った。めいそうするようにじっと目を閉じたり、神棚を見上げたり。ささいなことでもきっかけにして、流れを変えたかったのだと思う。
だが、土俵はまたも悲鳴に包まれた。横綱昇進後、不戦敗を除いて3連敗するのは3度目。過去2例は1年前の九州と今年初場所で、いずれも3連敗の翌日に休場を表明している。
目標を「優勝」と言い切って臨んだ今場所。しかし、今の相撲内容を見る限り、4日目から巻き返して優勝に絡む姿は想像できない。さらに内容の悪い相撲で黒星を重ねれば、それこそ、今場所中に進退を問う声が大きくなりかねない。白鵬、鶴竜の2横綱が不在で、意地もあるだろう。ただ、休場を決断するならばこのタイミングなのではないか。(鈴木健輔)