北朝鮮の朝鮮中央通信は16日朝、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が新たに開発した先端戦術兵器の実験を視察したと伝えた。兵器の詳細や視察の日時は明らかにしていない。正恩氏による兵器実験の視察は、昨年11月末の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験以来。停滞する米朝協議を有利に進めたい思惑がありそうだ。
同通信は実験について「設計上の指標を全て満たし、成功した」と伝えた。正恩氏は「金正日(キムジョンイル)総書記が生前、特別な関心を払って開発の完成へと導いた兵器体系が誕生した」と語り、実験について「我々の国防力のもう一つの誇示。戦闘力強化で画期的な転換だ」と主張した。
韓国の軍事専門家によれば、金総書記は「主体兵器」として、精密兵器やITを使った兵器の開発を急がせていた。この専門家は「レーザーやレールガン(電磁銃)のような新兵器かもしれない」と語った。
一方、北朝鮮は新兵器についてICBMのような戦略兵器ではなく、個別の戦闘を左右する「戦術兵器」としている。北朝鮮は2回目の米朝首脳会談の開催を目指しており、会談の実現を不可能にしかねない核やICBMの開発を指す可能性は低いと言えそうだ。
北朝鮮は2日付で発表した外務省米国研究所長の論評でも、米国が朝鮮戦争の終戦宣言や経済制裁の緩和を求める北朝鮮の要求に応じない場合、核開発と経済改革を同時に進める「並進路線」が復活する可能性があると示唆していた。(ソウル=牧野愛博)