電気使用量をこまめに計測できる電力量計として、東京電力が家庭などに設置している「スマートメーター」で、昨年8月までの約1年間に部品の一部が焼損する不具合が16件起きていたことがわかった。消費者庁は火災事故としてインターネット上に掲載しているが、東電は公表していなかった。
関係者によると、東光東芝メーターシステムズ(埼玉県)が2015年4~11月に製造した約2万4千台のコンデンサー部分に不良があったという。東電によると、抵抗部と基板の一部が焼損したとみられる不具合が、17年8月までの約1年間に16件起きていたという。
東電は具体的な日時や場所を明らかにしていないが、消費者庁などが運営する事故情報データバンクシステムによると、東京都内で17年1~7月、東光東芝メーターシステムズ製のスマートメーターで同様の不具合が少なくとも10件起きていた。すべて「火災事故」と分類している。東京消防庁の火災調査書によると、このうち東大和市と八王子市の事例は、メーター内の制御基板でコンデンサーが短絡(ショート)して過電流が起きたことが原因だった。10件はいずれもメーターの焼損で、建物など周囲への延焼はなかった。
東電の広報担当者は公表しなかった理由について「建物に燃え移る危険性はなく、無用の混乱を避ける意味でも公表していない」としている。不良品のスマートメーターは、対象者に通知した上で来年3月末までに交換するという。