ミャンマーの少数派イスラム教徒ロヒンギャ難民の帰還で、バングラデシュ政府の責任者であるアブル・カラム難民救済帰還委員会委員長は18日、朝日新聞の取材に「帰還に向けた進展は年内はないだろう」と述べた。両国政府は15日に難民のミャンマーへの帰還を始めることで合意していたが、希望する難民がおらず、先送りになっていた。
命が危ない 国連弁務官、ロヒンギャ帰還の中止求める
カラム氏は「ロヒンギャは国籍付与や安全といった根本的な権利を求めており、それが実現しなければ戻らないだろう」と語った。さらに「バングラデシュでは年末に総選挙が予定されており、それまでに帰還事業に進展があるとは考えにくい」とも話した。
カラム氏によると、日本政府は帰還に向けて、難民のリーダーたちに元々住んでいたミャンマー西部ラカイン州に事前に行ってもらい、状況を確認してもらうことを提案しているという。カラム氏は「非常に有益な計画だ」と評価した。(ニューデリー=奈良部健)