韓国の女性家族省は21日、日韓慰安婦合意に基づき、日本政府が10億円を拠出して韓国政府が設立した「和解・癒やし財団」の解散を進めると発表した。日本政府は「解散」に反対する考えを伝えていた。文在寅(ムンジェイン)大統領はこれまで合意自体は破棄しない立場を示しているが、合意の履行は困難となり、日韓のあつれきが強まるのは避けられない情勢だ。
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発表によると、財団を主管する女性家族省が、解散を進める法的手続きに入る予定だという。同省は、財団を取り巻く状況や関係部署との協議結果などから、「財団事業の終了を決定した」としている。
日本が出した10億円をめぐっては、韓国内の反発から韓国政府が今年7月、10億円相当の予算計上を決定。財団はすでに元慰安婦や遺族へ現金を支給しており、5億円余りが残っている。同省は、この残りと韓国政府の予算について元慰安婦や関係団体の意見も聴き、「合理的な処理方法を準備する」とした。日本政府とも協議して外交的措置もあわせて取る予定という。
日韓は国交正常化50年の節目にあたる2015年末、安倍晋三首相と当時の朴槿恵(パククネ)大統領の政治決断を受け、慰安婦問題を「最終的かつ不可逆的解決」することで合意。当時の岸田文雄外相と尹炳世(ユンビョンセ)外相が共同記者発表した合意の柱の一つが財団だった。
財団は韓国政府が16年7月に設立。女性家族省によると、合意当時に生存していた元慰安婦47人のうち34人にそれぞれ1億ウォン(約1千万円)、亡くなった元慰安婦199人のうち58人の遺族にそれぞれ2千万ウォンを支給する手続きを取った。ただ、昨年末、財団理事の大半が辞表を出してから支給事業は進まず、財団の機能は事実上停止していた。
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