千葉県印西市の老人ホームで同僚たちに睡眠導入剤を混ぜた飲み物をのませ、交通事故で死亡させたなどとして、殺人や殺人未遂などの罪に問われた准看護師、波田野愛子被告(72)の裁判員裁判が21日、千葉地裁で結審した。検察側は論告で「人を助ける立場を悪用して同じ手口で犯行を繰り返しており、陰湿で卑劣」などと述べて懲役30年を求刑した。
被告は「殺すつもりもなければ、死ぬとも思いませんでした」と改めて殺意を否定し、弁護側は傷害罪の適用を求めた。判決は12月4日に言い渡される。
検察側によると、波田野被告は昨年2月5日、同僚の山岡恵子さん(当時60)が車を運転して帰宅すると知りながら、睡眠導入剤を混ぜた飲み物をのませ、交通事故を起こさせて殺害した。その後、同様の手口で他の同僚らにも重軽傷を負わせるなどしたとされる。
公判で検察側は、被告が准看護師として睡眠導入剤の効果や副作用を熟知していたと指摘し、「交通事故を起こして死んでしまってもいい」という未必の殺意があったと主張。一方、被告は睡眠導入剤を入れた飲み物をのませたことは認めたが、「嫌がらせだった」などと述べ、一貫して殺意を否定してきた。(寺沢知海)