韓国政府は21日、日韓慰安婦合意に基づき日本政府が10億円を拠出して韓国政府が設立した「和解・癒やし財団」の解散を進めると発表した。日本政府の同意はなく、外務省は駐日韓国大使を呼び、抗議した。韓国は拠出金の取り扱いについて日本と協議するとしているが、合意できるめどは立っていない。
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日韓関係は韓国大法院(最高裁)が10月末、新日鉄住金に元徴用工への賠償を命じて以来、冷え込んでいる。韓国外交省は21日、「合意の破棄や再交渉を求めない立場には変わりない」と表明したが、合意の柱だった財団の解散発表で合意履行は困難となり、日韓の間でさらなる緊張は避けられない状況だ。
財団解散は21日、主管する女性家族省が元慰安婦や支援団体などの意見を聴いたうえ、「財団事業の終了を決定した」と発表した。同省関係者によると、法的な手続きには4カ月から1年ほどかかるという。
日本が政府予算から出した10億円をめぐっては、韓国内の反発から韓国政府が今年7月、同額にあたる予算計上を決定。同省によると、元慰安婦らに現金支給したあとに残った約58億ウォン(約6億円)は今後、韓国政府が支出する予算と合わせ、元慰安婦や関係団体などの意見を反映したうえで、「合理的な処理方法」を準備する。日本政府と協議するともしている。
ただ、韓国大統領府に近い関係者によると、韓国はすでに、国連が行っている女性に対する暴力の治癒プログラムにこの資金を拠出する案を示したが、日本側から返事はないという。
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