日曜に想う 編集委員・福島申二
分断にささくれる時代だから、こんな言葉を聞くとほっとする。もはや旧聞に属するが、玉城デニー沖縄県知事の当選直後のネット動画を見ると、インタビューに答える言葉が実にいい。
「私は、誰一人として取り残さないということを訴えてきました。(与党の推した)佐喜真(さきま)さんを応援、支持された方々ともしっかり話し合い、未来の沖縄県づくりに参加していただきたい。佐喜真さんにもその気持ちで、できることがあれば一緒にがんばっていただきたい」
ツイッターでも発信した。「誰に投票した人であれ、沖縄の未来を真剣に考えた一票だったと思います。その想いをこの一身に受け止めます」。票が単に勝ち負けを決めるだけの数字ではないことを分かっている人なのだと思う。選挙における一票について、作家の開高健が次のように言っていたのを思い出す。
条件によってはどうにでも変わ…