香港立法会(議会、定数70)の補欠選挙(1議席)が25日投票され、親中派が支持した元香港政府職員の陳凱欣氏(41)が当選した。民主派の李卓人氏(61)は派内の分裂が響いて落選。民主派は補選の直接選挙枠で2連敗を喫した。
香港では従来、民主派を支持する市民が多く、補選の直接選挙枠は、民主派が1997年の香港返還後、8連勝した。だが、民主派は今年3月の補選で初めて敗北。今回も議席を失ったことで、勢力の退潮に歯止めがかかっていない。
補選には、2016年の議員就任時の宣誓に問題があったとして、失職に追い込まれた民主派の前職が再出馬をめざした。しかし、選管当局は立候補を認めず、代わりに李氏が出馬した。こうした経緯に一部で反発が出て、別の候補者が出馬したため、民主派の票が分散。投票率も約44%と低迷し、組織票に頼らない民主派には逆風となった。
親中派は陳氏の当選によって、議事運営を有利に進めるルール改正を進めやすくなり、民主派への圧力を強めるとみられる。
立法会の勢力図は、陳氏を含む親中派が43議席、民主派が26議席、空席が1議席。民主派は依然、重要法案を否決できる「3分の1」(24議席)を維持している。(益満雄一郎)