東京電力福島第一原発事故による帰還困難区域の一部を解除する「特定復興再生拠点」を巡り、政府は28日、住民が長時間立ち入った場合の被曝(ひばく)線量が、最大で年間3・9ミリシーベルトになるとする推計結果を公表した。2020年春のJR常磐線の全線開通にあわせ、駅周辺であれば立ち入り規制を緩和できる見通しになったという。
復興拠点は、政府が帰還困難区域の8%にあたる6町村の計2747ヘクタールを認定し、22~23年に避難指示が解かれる。今年8月、大熊、双葉、富岡3町の駅周辺で空間線量を調べたところ、1時間あたり最大3~7マイクロシーベルトだった。
政府の基準では、帰還して住み続けた場合に、被曝線量が年間20ミリシーベルト以下で避難指示を解除できる。立ち入りについては明確な基準はないが、電車で域内に入り、1日10時間屋外で活動するとして推定すると、年間の被曝線量は大熊町で3・9ミリシーベルト、双葉町で2・1ミリシーベルト、富岡町で2・3ミリシーベルトだったという。(小川裕介)