首都圏を中心に流行する風疹の予防接種について、厚生労働省は29日、免疫がない39~56歳の男性を原則無料の定期接種の対象にする方向で検討に入った。この年齢層は定期接種の機会がなかった。抗体検査を受け、免疫が十分ではないと判明した人を対象にする。30~50代男性への拡大を検討したが、ワクチンの供給量が十分ではないことなどから対象を限定する。詳細は今後、専門家の意見も聞いて決める。
今年の風疹患者、2千人超える 首都圏以外でも増加中
対象は、1962年4月2日~79年4月1日に生まれた男性。抗体検査も、この年齢層の男性を年度内にも無料化する方針。
厚労省によると、今年の風疹患者は21日時点で2186人。30~50代男性が3分の2を占める。
定期接種は現在、1歳と小学校入学前1年間の計2回。ただ、制度変更の影響で39~56歳の男性は定期接種を一度も受けておらず、抗体保有率は約80%にとどまる。感染拡大を防ぐため、厚労省は、東京五輪・パラリンピックがある2020年までにこの年齢層の抗体保有率85%を目指す。
風疹は、気付かないまま感染を広げてしまうことが少なくない。妊娠初期の女性がかかると赤ちゃんに難聴や心疾患などの障害が出るおそれがある。(黒田壮吉)