プロ野球・福岡ソフトバンクホークスから戦力外となり、現役引退を発表した城所龍磨外野手(33)が30日、福岡市中央区のヤフオクドームで会見を開いた。「さびしい気持ちはありますが、第二の人生を前を向いて頑張っていきたい。『待機』ばっかりしていましたけど、ファンの皆さんのおかげで15年プレーできた」と思いを語った。
外野守備や走塁のスペシャリストとして守備固めなど途中出場での起用が多く、「キドコロ待機中」と書かれたTシャツも登場して話題に。2016年の交流戦では打率4割1分5厘でMVPに輝くなど、15年間ホークス一筋でプレー。今季は出場41試合にとどまり、チームが2年連続日本一になった翌日の11月4日に戦力外通告を受けた。
今月中旬に合同トライアウトを受けたが、NPB(日本野球機構)の他球団からオファーは届かなかった。「家族のことを第一に考えて、11月いっぱいで声がかからなければ引退しようと思っていた」と、家族と相談して引退を決意したという。同期入団の明石健志内野手と金子圭輔・球団広報には直接引退を報告したといい、「明石には頑張って欲しい。思いを託して長くプレーしている姿を見たい」。
けがも多く、左腕の骨折などで2度手術した15年は「もうダメかなと思った」という。それでも、「リハビリ中に工藤監督が『手術をして来季に向けてやってみたらどうだ』と言ってくれて気持ちが楽になった。次の年(16年)は感謝の思いでプレーできた」。
印象に残る試合は、初出場した2005年8月30日のロッテ戦(ヤフードーム)を挙げた。八回に代走で途中出場し、打者の打球が足に当たって守備妨害になったという。「母から『最初が失敗のスタートは龍磨らしいね』とメールが来てすごく覚えている。それが野球人生のスタート。忘れることはできない」
今後については未定で、「何か野球に携わっていきたいと思う」と話した。会見後には、元ホークスの松中信彦氏らから花束を贈られた。