(2日、福岡国際マラソン)
服部勇馬、日本勢14年ぶりの優勝 福岡国際マラソン
【詳報】服部、36キロから抜け出す 福岡国際マラソン
水分補給と糖質補給の2本の給水ボトルを交互に口にし、振り返ったらツェガエとメセルが離れていた。36キロ過ぎ。「スパートのイメージはなかったが、気づいたら後ろが離れていた。少しリズムを変えて勝負してみようと思った」。みるみる後続は離れる。14年ぶりとなる日本選手優勝のフィニッシュ。かぶっていたキャップを放り上げ、拳を握った。
気温が20度を超える中での号砲は実に53年ぶり。発汗しやすい体質という服部勇馬の肌は序盤から黒く光る。これまで3度のマラソンでは35キロ以降に失速した。この日は35キロからの5キロを14分40秒、残りの2・195キロも6分35秒と出場選手最速でカバー。ともに大迫傑がシカゴで日本記録を出したときを上回った。「最後の7キロをしっかり走れれば、おのずとタイムは出ると思っていた。練習の成果が出てうれしい」
7月の米コロラド州ボルダーでの日本陸連合宿でアジア大会優勝の井上大仁(MHPS)らに刺激を受けた。「彼らと比べるとまだまだ自分の取り組みは甘い」。月間走行距離は300キロアップの1000キロ超え。距離を踏むだけなく、一定した走法を意識した。「ジョギングでもスピード練習でも、レースの時と同じ動き。ピッチを変えるだけでストライドなどは変えないように気をつけた」。1キロ3分ペースが余裕をもって体に浸透していった。
ボルダー合宿で、服部の可能性からついたあだ名が「プリンス」。大迫、設楽悠、井上の男子マラソン3強に食い込む存在感を示した。(堀川貴弘)