「3代目山の神」が、アフリカの高地で走り込んだ。青学大時代に箱根駅伝の山登りで活躍し、今年5月にプロランナーに転向した神野大地(セルソース)。初マラソンだった昨年に続き、福岡国際マラソン(12月2日)に出場する。7月から約2カ月間、ケニアで練習を積んできた成果を試す。
神野は2時間12分50秒で13位に終わった昨年の福岡国際を振り返り「めちゃくちゃきつかった。一生忘れられない」。中間点ですでに足が「いっぱい、いっぱいだった」と言う。今年2月の東京では2時間10分18秒(18位)と大幅に自己記録を更新した。32キロぐらいから腹痛が起きて失速したが「2時間8分台は見えた。その自信は持っています」。
4月末日をもってコニカミノルタを退社し、プロランナーに。「コニカさんのサポートは素晴らしかったが、今の自分の実力ではめざす東京五輪は届かないと感じた。残り少ない時間をすべて陸上のために使いたいと思って決断した」
7月にケニアへ。約2カ月間、日本の大会で知り合ったランナーのグループに入り、標高2000メートルを超える“ランナーの聖地”イテンで走り込んだ。本格的な高地練習は初めてだったので期間中2度血液検査をした。「かなり良い数値だった。高地トレは自分に向いている、と思った」
食事も心配したが一度もおなかを壊すことはなかったという。「トータルで考えるとケニアは最高の環境でした」。20~30人のケニア選手に囲まれながら「ケニアではみんなで強くなろうという意識が強い。自分の持っている知識を独り占めするんじゃなくて、すごくアドバイスをくれる。これくらいの練習をやれば、これくらいのタイムは出る、とか」。合宿を引き揚げる時は、「今度はいつ来るんだ」と声をかけられた、という。
ただ、ケニア合宿の成果を出そうと臨んだ9月のベルリンは30キロを過ぎて棄権した。「腹痛が原因。ショックだったが、無理してゴールするより、次のレースに向けてはやめる方がよいと判断した」。福岡国際に向けては順調に練習できており、18日の上尾シティマラソン(ハーフ)も1時間2分19秒で走った。
今回の目標は、東京五輪の代表選考会となるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の出場権獲得。2時間11分42秒以内で走ればワイルドカードでの出場が決まるが、「安全なレースをするつもりはない。ちゃんと先頭集団についていく」。結果を出して年明けに再びケニアに渡る予定にしている。(堀川貴弘)