2日に開催される第72回福岡国際マラソン(朝日新聞社など主催)で、九電工で活躍した元陸上選手が育てたオリーブの冠が、優勝者に贈られる。自らは走れなかった夢の舞台に、新たな彩りを添える。
大会事務局によると、二十数年前から優勝者に月桂冠(げっけいかん)を贈っているが、オリーブ冠は初めてという。
直径35センチ前後の冠に使われたのは、陸上の名門、九電工が熊本県天草市で育てたオリーブ。同社は耕作放棄地に1600本の苗木を植え、2010年にオリーブ園を開いた。主に実からオイルを生産する。
大会への冠の提供を提案したのは、園の事業所長の清田隆二さん(47)だ。園の開設後、古代五輪ではオリーブ冠が贈られていたことを知り、「福岡国際で使ってもらえないかと思っていた」。昨年の大会直前、陸上競技部の関係者を通じて打診し、快諾された。
清田さんは現役時代、ニューイヤー駅伝に出場するなど活躍。福岡国際は、地元でありながら、別の大会と日程が重なるなどして出場機会がなかっただけに、思い入れは強い。
1日、自ら切った枝葉でできた冠をフィニッシュ地点の平和台陸上競技場(福岡市中央区)内の事務局に届けた。「私の中では日本最高の大会。覚悟をもった一流ランナーばかりで、全員に冠をかけてあげたい気持ちです」と話した。(角詠之)