三菱電機は4日、子会社のトーカン(千葉県松戸市)によるゴム部品の品質不正の調査結果を発表した。トーカンが手がける部品の種類のうち2割にあたる253種で品質データの偽装や検査の省略といった不正があり、硬さなどの性能を実際よりもよく見せていた。出荷先は三菱電機を中心に他メーカーや商社など25社にのぼるという。
不正があった部品は、鉄道車両や電力関連設備といった産業機器用のクッションやカバー、キャップ、ゴムシートなど240種▽家電やパソコンに使う電子機器用の放熱絶縁ゴム4種▽エスカレーター用の手すりやローラー9種。出荷額の9割が三菱電機向けで、三菱電機以外の出荷先の企業名については「お客さまの情報はこちらから出せない」(広報)としている。
問題の部品を使って三菱電機がつくった製品では、15種が顧客に約束した仕様を満たしていなかった。東海道新幹線のパンタグラフ関連装置や鉄道のブレーキ関連装置に採用されていることが判明しているが、三菱電機は具体的な製品名を明らかにしなかった。いずれも、再検査で安全性の問題がないことを確認したと説明している。2008年以降の不正は確認できたが、それ以前は資料がとぼしく、不正がいつ始まったかはわからないという。
トーカンが不正に気づいたのは今年1月。翌2月に三菱電機に報告したという。問題の部品は、鉄道車両など人命にかかわる製品に採用されており、三菱電機の対応の遅さや情報開示に消極的な姿勢が問われそうだ。
三菱電機とトーカンは4日午後4時から東京都内で記者会見し、不正の詳細を説明する予定だ。(内藤尚志)